新型コロナウイルスの位置付けが5類感染症に移行し、経済が徐々に活性化、それにより人手不足が叫ばれるようになってきましたね。
有効求人倍率の推移

出所:厚生労働省「一般職業紹介状況」
注:実数値。年平均値。新規学卒者を除き、パートタイムを含む。
そこで外国人労働者に至るわけですが、日本政府は一貫して新興国に対する人材育成、技術援助だとして移民政策をとろうとはしません。日本人と血のつながりのある日系人で、かつ永住権取得者であっても、教育の義務化や地方参政権等はありません。移民とは認めないのです。だから日本では外国人労働者の受入れは難しいのです。そのため、日本社会が本当に必要としている現場労働力、エッセンシャルワーカーの受入れの主流は技能実習、特定技能とならざるを得ません。しかし、技能実習生は原則として決まった年数しか日本に滞在できず、家族帯同も許されません。あまりに中途半端なビザであり、人権擁護事例も噴出やむを得ず、新たな在留資格「特定技能」が創設されたのですね。それでは、恒久的に企業で働く基盤人材はどうするのか。この人たちを「移民」と言いますが、制度の現状ではまだまだ難しい。しかし日本は制度を変えず、解釈を広げ、運用のレベルで利便性を上げようとしています。
例えば介護では、2012年EPA(経済連携協定)で来日した介護人材が介護福祉士試験に合格した人は95名中わずか36名で、ほとんど戦力になり得なかった。しかし、2019年度日本全体で約211万人だった介護職員数が、後期高齢者の増加により2025年度には約243万人必要になり、約32万人不足するとの推計を厚生労働省が発表すると、特定技能受入れ制度を創設、特定技能試験は新興国でもOK、介護福祉士資格そのものにビザ資格を付与すると矢継ぎ早に方針替え、受入れ枠を広げました。「移民」ではありませんが、着実に手を打ち始めています。
人手不足に悩む企業のみなさま方も諦めることなく、チャレンジ可能な政策そしてビザ取得ノウハウを縦横に駆使し、企業や施設の成長に役立てていただけたらと考えます。